大阪医科大学生物2013年第4問
アフリカのタンガニイカ湖には、さまざまな種類のシクリッドと呼ばれる淡水魚が生息している。それらは、a湖内のいろいろな環境に応じて、また種間での相互作用によって、非常に多様な習性を持つ300以上の種に分かれている。そのうちの一種「ペリソダス・ミクロレピス」は、生きている魚のウロコのみを食べる習性を持つことが知られている。この魚には図のように、獲物の「左側の」ウロコのみを食べる個体(左利き)と、「右側の」ウロコのみを食べる個体(右利き)がいる。左利きでは、口が右向きに曲がっており、右利きでは口が左に曲がっている(図)。この「利き」の遺伝様式を調べるため、野外から採集した個体を用いた交雑実験が行われた。右利き同士を交雜すると、生まれる子はすべて右利きであった。右利きと左利きを交雑すると、右利きの子と左利きの子が1:1で生まれた。左利き同士を交雑して生まれる子は、左利き:右利き=2:1であった。また、この交雑で生まれた左利き同士を交雑しても、左利き:右利き=2:1であった。これらの比は、複数の異なる個体で実験を繰り返しても常に同じであった。この交雑における左利き・右利きの対立遺伝子をそれぞれL・Rとすると、右利きの遺伝子型は( 1 )であり、左利きは( 2 )であると推測できる。このとき左利き同士の交雑では、遺伝子型( 3 )の子はふ化前に死んでしまうため存在しないと考えられる。これは、この遣伝子が「利き」の決定に関わると同時に( 4 )の( 5 )遺伝子であることを示している。タンガニイカ湖において、bこの魚の右利きと左利きの比は4:6から6:4の範囲で周期的に変動しており(平均すると右利き:左利き=1:1)、この状態は長期にわたって保たれている。以下の設問に答えよ。
- 問1 下線部aのように、共通祖先を持つ特定の生物群が多様な環境に適応して分化することを何というか。
- 問2 この魚では、どちらの利きが優性か答えよ。
- 問3 ( 1 )~( 5 )の空欄に適切な語句を入れよ。
- 問4 下線部bについて、左利きの割合が右利きの割合より高くなると、被食者は左からの捕食をより警戒するようになる。その結果、時間が経過すると左利きの割合はどう変化すると考えられるか。
- 問5 下線部bの現象が生じる理由について、被食者は体のどちら側を攻撃されるかを学習できると仮定して説明せよ。