大阪医科大学化学2013年第4問
問題AとBのうち、一方を選択して解答せよ。両方の問題に解答した場合は採点の対象外とする。
- 問題A 次の文章を読み、以下の問に有効数字3桁で答えよ。
【実験】スルホ基を官能基とするイオン交換樹脂10.0gを、液体を通じることができる筒状の容器(カラム)に充填し、(1)2.00mol/Lの塩酸を十分通じた後、カラムからの流出液が中性になるまで純水で洗浄した。次に(2)2.00mol/LのNaCl_水溶液を通じたところ、流出液は最初は中性であったが、やがて酸性となり、再び中性にもどった。NaCl水溶液を通じた以後の流出液をすべて集めて中和滴定の試料とした。この(3)試料を中和するのに0.400mol/LのNaOH_水溶液が25.0mL必要であった。
- 問1 このイオン交換樹脂10.0gには、何個のスルホ基が存在するか。ただし、アボガドロ定数を6.02×1023/molとする。
- 問2 下線部(1)の2.00mol/Lの塩酸の濃度を4.00mol/Lにして【実験】と同じ操作を行うと、下線部(3)の中和に必要となるNaOH水溶液は何mLになると予想されるか。
- 問3 イオン交換樹脂を20.0gに増やして【実験】と同じ操作を行うと、下線部(3)の中和に必要となるNaOH水溶液は何mLになると予想されるか。
- 問4 下線部(2)の2.00mol/LのNaCl水溶液の代わりに、濃度が未知のNaCl水溶液0.500mLを通じた後、流出液が中性になるまで水洗した。NaCl水溶液を通じた以後の流出液をすべて集めて試料とした。この試料にはNa+が含まれておらず、また、この試料を中和するのに0.200mol/LのNaOH水溶液7.50mLを要した。このNaCl水溶液の濃度は何mol/Lであったか。
- 問5 下線部(2)の2.00mol/LのNaCl水溶液の代わりに、2.00mol/LのNaOH水溶液を通じた。これを十分に水洗し、流出液を集めて試料とした。これを0.500mol/Lの塩酸で中和したところ、40.0mL必要であった。通じたNaOH水溶液の量は何mLであったか。
- 問題B 次の文章を読んで、以下の問に答えよ。
病気の原因に直接作用するのではなく、病気の症状を緩和する医薬品を 1 という。(1)その代表例としてアセチルサリチル酸がある。これは、サリチル酸と無水酢酸から合成され、解熱鎮痛・抗炎症剤として使用される。また(2)サリチル酸をメタノールとエステル化させた 2 _は、揮発性の液体で、消炎鎮痛剤(外用塗布剤)として使われている。これらとは対照的に、病原菌に直接作用してその働きを阻害し、病気をその原因から治療する医薬品もある。その代表例がペニシリンであり、これは特定の微生物によって作られる化学物質で、他の微生物の発育や代謝を阻害する。このペニシリンのような物質を総称して 3 という。また、人工的に合成された化合物にも、抗菌作用を示すものがあり、(3)スルファニルアミドがその例である。現在では、その誘導体が医薬品として用いられており、サルファ剤と呼ばれている。
- 問1 文中の 1 ~ 3 に適切な語句を入れよ。
- 問2 下線部(1)のアセチルサリチル酸の合成反応を構造式を用いて示せ。
- 問3 下線部(1)の反応が100%の反応効率で進むとすると、23.0gのサリチル酸からアセチルサリチル酸を何g得ることができるか。有効数字3桁で答えよ。
- 問4 下線部(2)の反応を構造式を用いて示せ。
- 問5 下線部(3)の化合物の構造式を書け。