埼玉医科大学化学2013年第1問
反応熱を求める実験1~3を行った。下の問い(問1~5)に答えよ。
【実験1】水48.0g(温度20.0℃)の入った温度計付きの断熱容器に、質量バーセント濃度98.0%の濃硫酸2.00g(温度20.0℃)を加えて希硫酸をつくった。このとき希硫酸の温度は29.0℃まで上昇した。
【実験2】実験1の容器に入った希硫酸(温度29.0℃)に、水酸化ナトリウムa g(温度29.0℃)を加えると、ちょうど中和された。このとき溶液の温度はT℃まで上昇した。
【実験3】実験1および実験2とは別に、水48.0g(温度20.0℃)の入った温度計付きの断熱容器を用意し、これに水酸化ナトリウムa g(温度20.0℃)を加えたところ、溶液の温度は28.5℃まで上昇した。
ただし、下の問いにおいて、溶液の温度変化をもとに、生じた熱量(反応熱)を求めるときは、式(1)を用いよ。また、すべての溶液の比熱を4.20J/(g・℃)として計算せよ。比熱とは、物質1gの温度を1℃上げるのに必要な熱量を意味する。 Q=mct
- Q:生じた熱量〔J〕
- m:溶液の質量〔g〕
- c:溶液の比熱〔J/(g・℃)〕
- t:溶液の温度変化〔℃〕
- 問1 実験1より、硫酸1molの溶解熱〔kJ〕を有効数字3桁で求めると、12.3kJとなる。1には十の位の数字を、2には一の位の数字を、3には小数第1位の数字をそれぞれマークせよ。小数第2位以下がある場合は四捨五入せよ。
- 問2 実験1の操作とは逆に、大量の濃硫酸の入った容器に少量の水を加えると、瞬間的に水が突沸(激しく蒸発)するので危険である。突沸する理由として最も適切なものを、次の(a)~(f)のうちから1つ選べ。4
- (a)硫酸の水への溶解によって起こる吸熱の量が、水の蒸発に必要な熱量よりも非常に大きいから。
- (b)硫酸の水への溶解によって起こる吸熱の量が、水の蒸発に必要な熱量よりも非常に小さいから。
- (c)硫酸の水への溶解によって起こる吸熱の量が、水の蒸発に必要な熱量とほとんど等しいから。
- (d)硫酸の水への溶解によって起こる発熱の量が、水の蒸発に必要な熱量よりも非常に大きいから。
- (e)硫酸の水への溶解によって起こる発熟の量が、水の蒸発に必要な熱量よりも非常に小さいから。
- (f)硫酸の水への溶解によって起こる発熱の量が、水の蒸発に必要な熱量とほとんど等しいから。
- 問3 実験2および実験3のaの値を有効数字3桁で求めると、5.67gとなる。5には一の位の数字を、6には小数第1位の数字を、7には小数第2位の数字をそれぞれマークせよ。小数第3位以下がある場合は四捨五入せよ。
- 問4 酸の水溶液と塩基の水溶液とが中和して水1molを生じるときの中和熱を56.0kJとするとき、実験2のTの値を有効数字3桁で求めると89.10℃となる。8には十の位の数字を、9には一の位の数字を、10には小数第1位の数字をそれぞれマークせよ。小数第2位以下がある場合は四捨五入せよ。
- 問5 実験3でつくった水酸化ナトリウム水溶液を29.0℃にしたのち、これを、実験1と同様にしてつくった希硫酸(29.0℃)の入った断熱容器にすべて加えて混ぜた。このとき容器内の溶液の温度はどのように変化するか。最も適切なものを次の(a)~(e)のうちから1つ選べ。11
- (a)29.0℃より低くなる。
- (b)29.0℃のままである。
- (c)29.0℃とT℃の間の温度になる。
- (d)T℃になる。
- (e)T℃より高くなる。