産業医科大学化学2012年第2問

次の文を読み、問に答えなさい。

ヒトの呼気中の二酸化炭素の濃度を測定するために、以下の実験を行った。ヒトの呼気を三角フラスコに捕集した。対照実験として、窒素ガスを呼気のかわりに三角フラスコに入れ、以下同様の実験を行った。それぞれの三角フラスコに、同じ濃度の水酸化カリウム水溶液(約0.2 mol/L)をホールピペットで20 mL加えてゴム栓をした。このとき三角フラスコ内の気体の体積は、いずれも27℃、大気圧で672 mLだった。1日静置して二酸化炭素を完全に溶かした後、三角フラスコ内の水酸化カリウム水溶液をコニカルビーカーに移した。さらに三角フラスコ内を少量の水ですすぎ、その水もコニカルビーカーに加えた。(a) このすすぎの操作を数回繰り返した。このコニカルビーカーにフェノールフタレイン溶液を数滴加え、(b) 0.100 mol/L硫酸水溶液で滴定した。溶液が赤色から無色になるまでに、ヒトの呼気を捕集して調べた方が33.2 mL、対照の窒素ガスの場合が37.9 mLを要した。これらのコニカルビーカーにさらにメチルオレンジ溶液を数滴加えると、ヒトの呼気を捕集した方は黄色となり、窒素ガスを入れた方は赤色になった。そこで、前者に対して、さらに(c) 0.100 mol/L硫酸水溶液を滴下して、10秒以上持続して赤色になる点を終点とした

  • 問 1 下線aのすすぎの操作で、以下の2つの方法のうち、どちらが回収率が高いか(A)、(B)で答えなさい。
    • (A) 1回に20 mLの水を加えて3回すすぐ。
    • (B) 1回に40 mLの水を加えて2回すすぐ。
  • 問 2 呼気に水酸化カリウム水溶液を加えた時に起こる反応を化学反応式で示しなさい。
  • 問 3 ヒトの呼気を調べた下線bの滴定で起こる2つの反応を化学反応式で示しなさい。
  • 問 4 下線cの滴定で起こる反応を化学反応式で示しなさい。
  • 問 5 下線cの滴定終了の直前に、コニカルビーカーの溶液全体が赤色になって、数秒後にまた元の黄色にもどった。黄色にもどる理由を書きなさい。
  • 問 6 下線cの滴定で、滴下量はいく らになると推定されるか有効数字2桁で答えなさい。
  • 問 7 三角フラスコ中に捕集された呼気中の二酸化炭素の物質量はいく らか有効数字2桁で答えなさい。
  • 問 8 この実験でのヒトの呼気中の二酸化炭素の体積百分率(%)を有効数字2桁で答えなさい。