聖マリアンナ医科大学生物2012年第1問

次の〔1〕と〔2〕の問題に答えなさい。
  • 〔1〕 次の文章を読んで下の質問に答えなさい。

    脊椎動物の眼の発生においては、連鎖的な誘導が起こる。発生途上にある胚の脳の左右両側に( ア )という膨らみが生じると、この( ア )は表皮に接近し、前端部はくぼみを形成して( イ )になる。すると表皮からは( ウ )が誘導される。さらに( ウ )は表皮に働きかけて( エ )の形成を誘導する。( イ )はやがて網膜に分化する。

    完成したヒトの網膜には、形と性質の異なる2種の視細胞が存在する。以下の図1は( オ )眼の水平断面を上から見た時の、網膜上の2種の視細胞AおよびBの分布の様子を示したものである。視細胞Aが集中している黄斑部はとくに、細かな形や色の違いを識別できる場所で、ヒトは物を注視し色を認識するときには、頭や限を動かして対象の像を視野の中央に結ぶようにしている。

    seimariannaika-2012-biology-1-1
    • (1) 文中の空欄( ア )~( オ )に入る適切な語を答えなさい。ただし、( オ )は右または左のどちらかを答えなさい。
    • (2) 図1に矢印で示された部分を何と称するか、名称を答えなさい。
    • (3) 視細胞AおよびBの名称を答えなさい。
  • 〔2〕 次の文章を読んで下の質問に答えなさい。

    動物の性は、持っている染色体の違いによって決められることが多い。ヒトの染色体は性決定に関与する性染色体とそれ以外の常染色体に大きく分けることができる。ヒトの性染色体にはX染色体とY染色体の2種類がある。女性は2本のX染色体を持ち、男性はX染色体とY染色体を1本ずつ持っている。このような性決定様式を雄へテロのXY型という。

    ヒトでは男女でX染色体の数が異なるので、そのままではX染色体上の遺伝子の発現量に男女間で2倍の差が生じると考えられるが、女性においては、発生のある時期に胚を構成する細胞それぞれのX染色体のうちの1本が独立かつ無作為に不活性化される。

    性染色体上の遺伝子による遺伝を伴性遺伝という。ヒトの伴性遺伝の例として赤緑色覚異常が知られている。赤緑色覚異常は、視細胞がもつ光を吸収する色素の遺伝子の突然変異によるもので、この遺伝子はX染色体上に載っている。赤緑色覚異常の原因遺伝子は、色覚異常をもたらさない対立遺伝子に対して劣性であり、女性の場合、ホモ接合にならないと色覚異常が現れないとよく説明される。しかし、へテロ接合の女性が赤緑色覚異常を示す場合があることが知られている。また、へテロ接合の女性において、片方の眼でのみ赤緑色覚異常が認められることもあるが、両眼で行われる通常の色覚検査では色覚異常とは判定されないことが多い。

    • (1) 性染色体による性決定様式には、雄へテロ型に加え、雌へテロ型が知られている。雌へテロ型とはどのような性決定様式か、説明しなさい。
    • (2) 雌へテロ型に属する生物はどれか、以下の選択肢の中から該当するものを全て選び、記号で答えなさい。
      [選択肢]
      • (あ) ハツカネズミ
      • (い) ニワトリ
      • (う) トンポ
      • (え) トノサマバッタ
      • (お) カイコガ
      • (力) キイロショウジョウバエ
    • (3) 赤緑色覚異常の遺伝子に関してへテロ接合の女性の網膜では、一般に視細胞における赤緑色覚異常の遺伝子の発現にどのような特徴があると考えられるか、説明しなさい。
    • (4) 赤緑色覚異常の遺伝子に関してへテロ接合であって、かつ赤緑色覚異常の表現型を示す女性の網膜では. 視細胞における赤緑色覚異常の遺伝子の発現にどのような特徴があると考えられるか、説明しなさい。