聖マリアンナ医科大学生物2012年第2問

次の文章を読んで下の質問に答えなさい。

脊椎動物の筋は平滑筋と( ア )に分けられる。平滑筋は小腸や膀胱等の内臓の壁を構成する。( ア )はさらに骨格筋と心筋とに分類される。骨格筋は平滑筋や心筋とは異なり、意識的に制御可能であることから( イ ) ともいう。これに対し、平滑筋や心筋は意識的に制御できず、主に自律神経によって制御されている。自律神経には交感神経と副交感神経があり、いずれも( ウ )によって統合的に調節されている。

骨格筋は運動神経によって制御されており. 中枢から興奮が伝えられることにより収縮が起こる。運動神経の軸索末端は骨格筋の表面に到達し、シナプスを形成している。この部分では、神経伝達物質である( エ )によって細胞間の情報伝達が行われている。神経からの興奮が筋細胞に伝わり、さらにその興奮が筋小胞体に伝わると、筋小胞体から細胞質基質へ( オ )が放出され、筋の収縮が誘起される。

骨格筋の筋細胞の中には筋原繊維が多数並んでいる。これを顕微鏡で観察すると、明るい領域(明帯)と暗い領域(暗帯)が交互に配列していることが分かる。明帯の中央部にあるZ膜から隣のZ膜までは構造上の単位としてサルコメア(筋節)と呼ばれている。筋原繊維にはミオシンフィラメントとアクチンフィラメントという2種類のフィラメントがあり、筋細胞に伝えられた興奮によって、2種のフィラメントの相互作用が誘起され、筋肉が収縮する。

  • 〔1〕 文中の空欄( ア )~( オ )に入る適切な語を答えなさい。ただし、( エ )および( オ )は物質の名称を正確に答えなさい。
  • 〔2〕 副交感神経は中枢神経のどの部位から出ているか、答えなさい。
  • 〔3〕 筋の収縮時および弛緩時のサルコメアの様子をその違いがわかるように模式的に図示しなさい。その際、アクチンフィラメント、ミオシンフィラメント、Z膜を指し示し、どちらの図が収縮時および弛緩時のものか、明示すること。
  • 〔4〕 筋肉の長さを人為的に変え、1回の刺激によって発生する筋繊維の張力を測定した。右の図2に、サルコメアの長さと、刺激を与えたときの張力との関係を示した。なお、サルコメアの長さが2.0$\mu$mより短くなると、フィラメント同士が重なり合い、筋の張力が低下することが分かった。
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    • (1) サルコメアの長さが2.2$\mu$mから3.6$\mu$mの間では、サルコメアが長くなるにつれて刺激を与えたときの張力が低下している。これは何故か、説明しなさい。
    • (2) 暗帯の長さを求めなさい。
    • (3) サルコメアの長さが2.2$\mu$mのときの、明帯の長さを求めなさい。