聖マリアンナ医科大学生物2012年第3問

次の文章を読んで下の質問に答えなさい。

ヒトの身体は成人では約60兆個の細胞で構成されている。これらの細胞は酸素を必要とするので、ヒトにおいては、その身体を構成する各細胞に酸素を供給するための仕組みとして、呼吸系に加えて心臓および血管などで構成される循環系が発達している。

血液は体液の一種で、ヒトの成人の場合、体重の約8%を占めている。血液は有形成分である血球と液体成分である血しょうから成り、血しょうが血液の重さの55%を占めている。体液には、その他に( ア )液と( イ )液がある。( ア )液は血管から血しょうの一部がしみ出して細胞間を満たしたもので、細胞との物質交換を担う。( ア )液はその大半が毛細血管に吸収されるが、一部は( イ )管に吸収される。

血球のひとつには、ヘモグロビンが含まれている。ヘモグロビンは( ウ ) イオンを含むヘムという分子とグロピンというポリペプチドの複合体で、酸素と可逆的に結合し、全身へ酸素を運搬する役目を担っている。

  • 〔1〕 文中の空欄( ア )~( ウ )に入る適切な語を答えなさい。
  • 〔2〕 ヒトの心臓とカエルの心臓を比較すると、構造上大きく異なる点がある。
    • (1) どのような点が異なるか、説明しなさい。
    • (2) ヒトの心臓とカエルの心臓における構造上の大きな違いは、心臓による全身への酸素の供給能力に差を生じさせると考えられる。心臓による酸素の供給能力にどのような差があると考えられるか説明しなさい。
  • 〔3〕 ヒトの血液に含まれる血球について、以下の表1にそれぞれの特徴をまとめた。これについて、以下の質問に答えなさい。
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    • (1) 表1の( あ )~( う )に当てはまる血球の名称を答えなさい。
    • (2) ヘモグロビンを含むのはどの血球か、記号で答えなさい。
    • (3) 表1の( う )について、ヒトの成人1人に存在するおよその個数を求め、以下の選択肢から最も近い数値を選び、答えなさい。
      (必要であれば次の数値を参考にしなさい。血液の比重:1.05)
      [選択肢]
      • 200兆
      • 20兆
      • 2兆
      • 2000億
      • 200億
      • 20億
      • 2億
      • 2000万
      • 200万
  • 〔4〕 右の図3は、ヘモグロビンと酸素との結合が、酸素分圧によってどのように影響されるかを示したものである。これを酸素解離曲線という。2本の酸素解離曲線のうち、一方の曲線は二酸化炭素分圧が60 mmHg、もう一方の曲線は二酸化炭素分圧が40 mmHgのときに得られたものである。

    ここで分圧とは、混合気体において、ある 1つの成分が混合気体と同じ体積を占めたときの圧力のことをいう。例えば、大気圧1気圧は760 mmHgと表され、大気中には21%の酸素が含まれるので、大気中の酸素分圧は760×(21/100)=160 mmHgとなる。

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    • (1) いま、ある器官に入る動脈血の酸素分圧が100 mmHg、二酸化炭素分圧が40 mmHg、この器官から出る静脈血の酸素分圧が30 mmHg、二酸化炭素分圧が60 mmHgであったとする。このとき、この器官を通る間に酸素ヘモグロビンの何%が酸素を解離したか、小数第一位まで求めなさい。なお、ここに挙げた条件以外は同じ条件であるとする。
    • (2) 酸素分圧、二酸化炭素分圧以外に、どのような条件がヘモグロビンと酸素の結合に影響を及ぼすか、その条件を1つ挙げなさい。
    • (3) ヒトにおいて、胎児がもつヘモグロビンは、成人のそれと比較してどのような特徴を有するか。解答棚に成人のヘモグロビンのある条件における酸素解離曲線を破線で示してあるので、それを参考に胎児ヘモグロビンの酸素解離曲線をその特徴が分かるように実線で描きなさい。
  • «解答欄»
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