聖マリアンナ医科大学生物2013年第2問

次の文章を読んで、以下の質問に答えなさい。

私たちの体を守る免疫には( 1 )免疫と( 2 )免疫とがある。( 1 )免疫は生来備わっている免疫で、健康体の皮膚や粘膜は酸や抗菌ペプチドなどが存在することなどにより、異物の侵入を許さない構造を保っている。それでも侵入してくる病原体などに対しては、マクロファージや好中球などの( 3 )をもつ細胞が働き、異物除去が行われる。( 2 )免疫は生後得られる免疫で、各種のリンパ球の働きが複雑に関与している。

リンパ球のうち、B細胞が関わる( 4 )免疫は( 5 )とも呼ばれる抗体の働きが大きい。もう一つの細胞性免疫はウイルスに感染した細胞やがん細胞を攻撃したり、(a)臓器移植の際に臓器の定着を妨げる( 6 )反応にも働く免疫である。

  • 〔1〕文中の空欄( 1 )~( 6 )に当てはまる語句を解答欄に記入しなさい。
  • 〔2〕解答用紙の抗体の模式図に、以下のものを分かりやすく示しなさい。
    • ・H鎖
    • ・L鎖
    • ・可変部
    • ・定常部
    • ・抗原と結合する部位
  • 〔3〕無数に存在するともいえる抗原に対して、それらと結合できる抗体が作りだされる仕組みについて、利根川進博士の研究(1987年ノーベル生理学・医学賞受賞)に基づいて30字以内で説明しなさい。
  • 〔4〕免疫細胞について説明した文章(ア)~(カ)のうち、T細胞に該当するものをすべて選び、記号で答えなさい。
    • (ア) 異物を取り込んで抗原として提示する。
    • (イ) 抗原提示を受け、その他の免疫細胞を活性化する。
    • (ウ) 抗体を産生する細胞に分化する。
    • (エ) 異物と判定された細胞の細胞膜に穴を開けて、直接破壊を行う。
    • (オ) HIV(ヒト免疫不全ウイルス)により破壊される。
    • (カ) ヒスタミンを分泌してアレルギー反応を引き起こす。
  • 〔5〕上記設問〔4〕(イ)の細胞がその他の免疫細胞を活性化する際に分泌する生理活性物質の総称を答えなさい。
  • 〔6〕細胞性免疫で働く細胞が成熟する器官名を答えなさい。
  • 〔7〕下線部(a)の臓器移植の際には、自己と非自己の識別を可能にするものとして、身体を構成する細胞表面にある抗原が問題になる。ヒトの場合、これを主要組織適合抗原(MHC)と呼び、この抗原は同じ染色体上にある6つの遺伝子座からつくられる。これらの遺伝子座は近接した位置にあるため、交差はほとんど超こらないと言われている。それぞれの遺伝子座に多数の対立遺伝子が存在するため、赤の他人でこのMHCが一致する確率は極めて低い。
    同じ両親から生まれた兄弟がいる場合、自分以外の兄弟のうち少なくとも一人と自分のMHCが一致する確率は何%か。2人兄弟(自分以外に1人)、4人兄弟(自分以外に3人)のそれぞれの場合において確率(%)を計算し、少数第1位を四捨五入して整数で答えなさい。(MHCをコードする6つの遺伝子座において組換えは起こらないものとする。