昭和大学生物2012年第1問
核酸の構造およびその複製に関する以下の質問に答えなさい。
- (1) DNAは糖、塩基、( ア )の3つの成分から成る( イ )と呼ばれる構造を基本単位とする。この基本構造が結合して出来たDNA鎖は一端を5' 末端と呼び、他端を3'末端とよぶ。
- 問1 上の( ア )( イ )に適当な語句を入れなさい。
- 問2 ( イ )が3個から成る鎖について、その結合様式を図で示し、かつ5' 末端と3' 末端を示しなさい。ただし、糖を五角形、塩基を四角形、( ア )を丸で表しなさい。
- (2) DNAでは( イ )鎖が2本、向かい合わせに並び、二重らせん構造を形成する。二重らせんの内側には塩基が存在している。塩基は( ウ )、グアニン、( エ )、シトシンからなり、それぞれA、G、T、Cと略される。AとGは( オ )核を基本骨格とする塩基性物質であり、TとCは( 力 )核を基本骨格とする塩基性物質である。
- 問3 上の( ウ )~( 力 )に適当な語句を入れなさい。
- 問4 AとT、GとCは相補的に結合している。この時、A-T、G-Cの結合で、どちらの結合力が強いか書き、その理由について15字以内で述べなさい。
- (3) DNAの複製に際してはまず二重鎖DNAの塩基同士の結合が切れ、1本鎖DNA2本となり、それぞれの鎖を鋳型にして各塩基に相補的な塩基を持つ( イ )が結合し、DNAが複製される。即ち、新しく出来た2本のDNA鎖のうち1本は鋳型となった元々ある鎖で、1本だけが新しく合成された鎖である。このような複製を( キ )的複製とよぶ。DNAの複製に際し、新しく合成されるDNA鎖は必ず( ク )方向であること、および2つの複製はほぼ同時進行であることが知られている。いま下図のようにA鎖、B鎖からなるDNA鎖があり、これより新しいA鎖、新しいB鎖が合成されるとする。
- 問5 ( キ )に適当な語句を入れなさい、( ク )には5'→3'か3'→5'のいずれかを書きなさい。
- 問6 新しいA鎖と新しいB鎖の合成方法の違いを60字以内で説明しなさい。
- (4) DNAの( キ )的複製は試験管内で起こす事も出来る。その中でもポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は特定の領域の遺伝子を選択的に増幅することが出来、医学、生物学のさまざまな分野で利用されている。PCRでは1本の試験管に必要なサンプル、試薬を一度に入れて反応させる。PCRではl回の反応は次の3つのステップから成り、この3ステップを1サイクルとし、30-40サイクル反応させることでDNAを大量に増幅する。
- ステップ1:95℃で2本鎖DNAを1本鎖とする。
- ステップ2:50-60℃で(A) 複製の開始点となる1本の短い( イ )鎖を増幅させたい領域の両端部分に結合させる。
- ステップ3:70-72℃でDNAポリメラーゼ(耐熱性ポリメラーゼ)を働かせ、DNAを増幅する。
- 問7 下線部Aは何と呼ばれるか書きなさい。
- 問8 ステップ3を35-40℃で行う場合でも耐熱性DNAポリメラーゼを使う必要がある。その理由を20字以内で書きなさい。