東邦大学生物2013年第3問
アミノ酸代謝に関する以下の文を読み、問28~32に答えよ。
(文1)
(文1)
アミノ酸は単にタンパク質の構成成分であるだけではなく、神経伝達物質やホルモン、色素、核酸の前駆物質になるなど、多くの役割を担う。必須アミノ酸はヒトの体内では十分に合成できず、食事から摂取しなければならないが、他のアミノ酸は体内で合成できる。各アミノ酸の窒素成分と炭素成分は、複雑な代謝経路によって、他のアミノ酸や糖質、脂質の合成に用いられる。これらのアミノ酸代謝経路に遺伝的異常が発生すると、代謝されるべきアミノ酸や代謝産物の過剰蓄積が生じる。ヒトの体内におけるアミノ酸$\fbox{A}$の代謝経路を図9に示す。図中、(1)~(5)の酵素反応のいずれかが障害を受けると、フェニルケトン尿症、アルカプトン尿症、チロシン血症などの疾患を発症する。これらの疾患におけるアミノ酸および代謝産物の血中濃度を表4に示す。
- 問28 アルカプトン尿症$\fbox{ア}$、チロシン血症$\fbox{イ}$、フェニルケトン尿症$\fbox{ウ}$はそれぞれ図9に示した(1)~(5)の酵素反応のどこの障害と考えられるか。
- a.(1)
- b.(2)
- c.(3)
- d.(4)
- e.(5)
- 問29 アルカプトン尿症で障害が認められる酵素は、ある染色体上に存在する遺伝子Xによってコードされている。遺伝子Xは同じ染色体上の他の遺伝子A、B、Cと連鎖しており、それぞれの組換え価を表5に示す。
遺伝子A、B、Cと遺伝子Xは染色体上でどのような位置関係にあるか。
遺伝子A$\fbox{ア}$、B$\fbox{イ}$、C$\fbox{ウ}$の位置を以下の図10のa~jから選べ。ただし、図の1目盛りは5センチモルガンに相当する(1センチモルガンは1%の組換え価を生じる染色体上の距離)。 - 問30 遺伝子Xが変異し、アルカプトン尿症を発症するある家系図を図11に示す。□は男性、◯は女性を表し、アルカプトン尿症を発症しているヒトは黒塗りで表す。
図中、二重丸で示した女性Aがアルカプトン尿症を発症する確率は何%か。
十の位(1)- a.1
- b.2
- c.3
- d.4
- e.5
- f.6
- g.7
- h.8
- i.9
- j.0またはナシ
- a.1
- b.2
- c.3
- d.4
- e.5
- f.6
- g.7
- h.8
- i.9
- j.0
図9で(1)の酵素活性に障害を持つ患者の皮膚を用いて細胞培養を行い、(1)の酵素をコードしている正常な遺伝子を培養細胞に導入することでアミノ酸代謝が正常な状態に回復するか確認実験を行いたい。
- 問31 ある遺伝子を細胞に導入する際に運び屋となるDNAはどれか。
- a.DNAポリメラーゼ
- b.RNAポリメラーゼ
- c.イニシエーター
- d.オペレーター
- e.トランスポーター
- f.プライマー
- g.プロモーター
- h.ベクター
- i.リプレッサー
- 問32 アミノ酸代謝を回復するには、どの物質の合成酵素をコードする遺伝子を導入すればよいか。その物質名を選べ。
- a.アルカプトン
- b.アルギニン
- c.オルニチン
- d.シトルリン
- e.チロシン
- f.フェニルアラニン
- g.フェニルピルビン酸
- h.メラニン