東邦大学生物2013年第4問

DNAの構造に関する以下の文を読み、問33~37に答えよ。

遺伝情報を保持するDNAは2本のヌクレオチド鎖が塩基部分で水素結合した右巻きの二重らせん構造(2本鎖DNAの形状)をとる。2本鎖DNAは、アルカリ条件や高温条件で塩基間の水素結合が解離し、それぞれ塩基組成の異なる1本のヌクレオチド鎖(1本鎖DNAの形状)に分かれる。シャルガフはいくつかの生物由来のDNAの塩基組成を分析し、特定の塩基の組成が等しくなる規則性を見出した。二重らせん構造はこの規則性を手がかりにモデル化された。表6は10万塩基対の長さを持ついろいろな2本鎖DNA試料(1~5)および同じ長さの1本鎖DNA試料(6~10)の塩基組成を記したものである。

表6
DNA試料
形状
DNA試料中に含まれる塩基の割合(%)
シトシン
 (1) 
 (2) 
 (3) 
1
 2本鎖DNA 
10
40
10
40
2
 2本鎖DNA 
15
35
15
35
3
 2本鎖DNA 
20
30
20
30
4
 2本鎖DNA 
30
20
30
20
5
 2本鎖DNA 
35
15
35
15
6
 1本鎖DNA 
10
20
30
40
7
 1本鎖DNA 
10
30
20
40
8
 1本鎖DNA 
20
10
40
30
9
 1本鎖DNA 
30
40
10
20
10
 1本鎖DNA 
40
30
10
20
  • 問33 表中の(1)~(3)に対応する塩基として、それぞれ正しいのはどれか。ただし、塩基(3)の分子量は塩基(1)の分子量よりも大きい。
    • a.アデニン
    • b.アラニン
    • c.ウラシル
    • d.グアニン
    • e.グリシン
    • f.チミン
    • g.プリン
    • h.ピリミジン
  • 問34 1本鎖DNA試料(6~10)の中に、2本鎖DNA試料(1~5)が解離して生じたものが含まれるとき、もとの2本鎖DNAと生じた1本鎖DNAの組合せを選べ。
    2本鎖DNA$\fbox{ア}$-1本鎖DNA $\fbox{イ・ウ}$
    • a.DNA試料1
    • b.DNA試料2
    • c.DNA試料3
    • d.DNA試料4
    • e.DNA試料5
    • f.DNA試料6
    • g.DNA試料7
    • h.DNA試料8
    • i.DNA試料9
    • j.DNA試料10
  • 問35 あるバクテリアの環状DNA(2本鎖DNA)の塩基組成を調べたところ、シトシンと(2)の割合は合計40%であった。この環状DNAの2本のヌクレオチド鎖の片方だけの塩基組成を調べると、(1)は20%であった。もう片方のヌクレオチド鎖の組成において、(1)の占める割合(%)はどれか。
    • a.10
    • b.20
    • c.25
    • d.30
    • e.33
    • f.40
    • g.50
    • h.60
    • i.66
    • j.70
  • 問36 DNA二重らせん構造の両方のヌクレオチド鎖が鋳型となり、各鋳型の塩基に相補する塩基が順次連結されることにより新しいヌクレオチド鎖が複製される。このDNAの複製方法$\fbox{ア}$とそれを研究で確認した2人の研究者$\fbox{イ・ウ}$を選べ。
    • 複製方法$\fbox{ア}$
      • a.保存的複製
      • b.半保存的複製
      • c.分散的複製
    • 研究者$\fbox{イ・ウ}$
      • a.アベリー
      • b.クリック
      • c.グリフィス
      • d.スタール
      • e.チェース
      • f.ハーシー
      • g.パネット
      • h.ベーツソン
      • i.メセルソン
      • j.ワトソン
  • 問37 制限酵素SmaIは、$\begin{align}\text{CCCGGG}\\\text{GGGCCC}\end{align}$という6塩基対を認識して切断する。この酵素で処理した時、最も切断箇所が多いと予想されるのはDNA試料1~10のどれか。ただし、1本鎖DNAは相補するヌクレオチド鎖を補って2本鎖として考えること。
    • a.DNA試料1
    • b.DNA試料2
    • c.DNA試料3
    • d.DNA試料4
    • e.DNA試料5
    • f.DNA試料6
    • g.DNA試料7
    • h.DNA試料8
    • i.DNA試料9
    • j.DNA試料10