東海大学生物2013年第2問
以下の文章を読んで、各問いに答えなさい。
古くから日本人に親しまれているメダカは、(1)メンデルの法則が脊椎動物で最初に確認された生物である。メダカの体色遺伝はメンデルの法則に従い、野生型である黒褐色(表現型[BR]正常の黒色素胞と黄色素胞を有する)が、ヒメダカの橙色(表現型[bR]黒色の色素胞はないが正常の黄色素胞を有する)に対して優性であるため、野生型とヒメダカを交配して得られたF1では全ての個体が黒褐色となり、F2においては黒褐色と橙色が3:1に分離する。また、ヒメダカの橙色がシロメダカの白色(表現型[br]黒色および黄色の色素胞を持たない)に対して優性であり、野生型メタ力とシロメダカを交配すると、F1は全て黒褐色のものばかりであるが、F2においては(2)黒褐色、青色、橙色、白色の各メダカが9:3:3:1に分離して現れる。
メダカの性染色体はヒトと同様にXY型であり、雌はXX、雄はXYである。Y染色体上には性決定遺伝子(DMY)が存在することが分かっている。市販のヒメダカ(遺伝子型がbbRRもしくはbbRr)の中に混在しているシロメダカ(遺伝子型がbbrr)のうち雌を選び、ヒメダカの雄と交配した。次に、そのF1の中から雌のシロメダカと雄のヒメダカを選んで交配した。このように、雌のシロメダカと雄のヒメダカの兄妹交配を繰り返すと、(3)シロメダカであればほとんど全て雌、ヒメダカであればほとんど雄である系統を得ることができる。しかし、(4)こうして得られたとシロメダカとヒメダカとの間で交配を行ったところ、得られた1,000匹のf1雄個体のうち3個体がシロメダカであった。
- 問1 下線(1)について、メンデルの法則を再発見したのは誰か。以下のa~hから選び記号で答えなさい。
- a.シュペーマン
- b.モーガン
- c.ワトソン
- d.へッケル
- e.ド・フリース
- f.マラー
- g.ラマルク
- h.ビードル
- 問2 下線(2)に関して以下の問いに答えなさい。
- (a)青色メダカの遺伝子型について、考えられるものを全て記しなさい。(例:「BBRR」は黒褐色の野生型メダカの遺伝子型の1つである。)
- (b)下線(2)で得られたメダカから、雄のヒメダ力(橙色)と雌のシロメダカ(白色)を無作為に選んで多数のペアを交配した場合、得られた仔メダカの中のシロメダカの割合は何パーセントになると期待されるか。小数点第1位を四捨五入し整数値で答えなさい。
- 問3 下線(3)のような遺伝様式を何と言うか。
- 問4 下線(4)について、以下の問いに答えなさい。なお、ここではX染色体とY染色体間で減数分裂時の相同組換えが生じることがあると仮定する。
- (a)F1にシロメダカの雄が生じる理由(機序)を、旬読点を含めて35字以内で説明しなさい。ただし、ここでは遺伝子の変異や性転換は考慮しない。
- (b)組換え価1%を与える遺伝的距離を1cM(センチモルガン)と定義した時に、メダカにおいて、DMY遺伝子とr(あるいはR)遺伝子間の遺伝的距離は何cMであるか、小数点以下第1位までの値を答えなさい。
- (c)また、このゲノム領域において1cMの遺伝的距離が平均2,000kbp(キロ塩基対)(=2,000,000bp[塩基対])の物理的距離に相当すると仮定した場合、DMY遺伝子とr(あるいはR)遺伝子間の物理的距離は約何kbp(キロ塩基対)であると推定されるか、答えなさい。