東海大学生物2013年第3問

内分泌系による恒常性維持に関するⅠ、Ⅱの文章を読んで、各問いに答えなさい。

Ⅰ.内分泌腺で産生され、分泌されたホルモンは血流にのって( 1 )に到達し効果を発揮する。内分泌腺としては、視床下部、脳下垂体、甲状腺、副甲状腺、すい臓、副腎がよく知られている。すい臓の( 2 )のA細胞とB細胞からはそれぞれ( 3 )と( 4 )が分泌され血糖値を調節しており、また、副腎髄質からもアドレナリンが分泌され血糖値を上げる働きをしている。一方、これらの血液中のホルモンの濃度はからだの活動状態に応じて正確に調節されている。( 5 )の視床下部とよばれる部分とその周囲は、ホルモン分泌調節に特に重要な役割を果たしている。視床下部の神経分泌細胞から血液中に分泌されたホルモンは、脳下垂体( 6 )に運ばれてホルモン産生細胞を刺激し、( 6 )からのホルモン分泌を調節する。脳下垂体( 6 )では主に6種類のホルモンが作られ血液中に分泌される。下垂体で分泌されたホルモンのうちいくつかは他の内分泌腺のホルモン分泌を調節している。また、視床下部の神経分泌細胞の細胞体でつくられたホルモンが( 7 )を通って脳下垂体( 8 )まで輸送され分泌される。( 9 )はその一例で、腎臓の集合管における水の再吸収を促進している。

  • 問1 本文中の空欄( 1 )~ ( 9 )に適切な語句を記入しなさい。

Ⅱ.ネズミの脳下垂体を取り出し、冷却しながら細かくきざみ、その後、ディスパーゼという酵素を作用させると、一つ一つの細胞が分離した状態の細胞集団が得られる。これらの細胞は、適切な培養液中において約1週間培養することが可能である。この細胞集団は脳下垂体の初代培養細胞とよばれ、ホルモンを作る能力を持つとともに、神経分泌細胞から作られる因子によって調節される機能を保持している。このためこの細胞集団は、脳下垂体ホルモン産生制御の仕組みを調べる様々な実験に用いられてきた。

  • 問2 この初代培養細胞の培養液中に視床下部で作られるホルモンAを加えたところ、培養液中にホルモンBが検出されるようになった。このホルモンBをネズミに注射すると、肝臓や骨格筋の代謝が高まることがわかった。成長ホルモンはタンパク質合成の促進、グリコーゲン分解の促進などの作用を有しており、ホルモンBと同様に体の代謝を高めることがわかっている。
    • (1)ホルモンAの名称を答えなさい。
    • (2)ホルモンBの名称を答えなさい。
    • (3)ホルモンBを投与したネズミの肝臓や骨格筋の代謝が高まった理由を、句読点を含めて45字以内で説明しなさい。
  • 問3 次に、この初代培養細胞に視床下部で作られるホルモンCを作用させたところ、ホルモンDが培養液中に検出されるようになった。このホルモンDをネズミに注射すると血液中のグルコース濃度が上昇した。また、成長ホルモンはグリコーゲンの分解を促進し、結果としてホルモンDと同じように血糖値を上昇させる効果を持つことがわかっている。
    • (1)ホルモンDの名称を答えなさい。
    • (2)ホルモンDを投与したネズミの血液中グルコース濃度が上昇した理由を、句読点を含めて45字以内で説明しなさい。