東海大学物理2012年第2問

電子が電場及び磁場によりどの様に曲げられるかを観測するために2つの実験装置を準備した。図1は電場を、図2は磁場を用いた装置を示している。両図において左側から電子を一定の速さ$v$で原点Oから$z$方向に入射した。図1では長さ$l$の2枚の電極板が$z$軸に平行に置かれている。電極板には電池がつながれており極板間の電場の大きさは$E$である。図2では長さ$l$の灰色の領域に磁束密度$B$の磁場が紙面の裏から表に向かって紙面に垂直にかけられている。ただし、電場及び磁場は一様であり、端の部分の歪みはないものとする。電子の電気量の大きさを$e$、質量を$m$とする。電子が電場及び磁場から受ける力に比べて重力は小さく無視できるものとして、次の各問いに答えなさい。

tokai-2012-physics-2-1
tokai-2012-physics-2-2

図1において電子は$x$方向に変位する。

  • (1) 電子の受ける$x$方向の力の大きさを求めなさい。
  • (2) $z=l$の位置で電子の$x$座標$x_l$を求めなさい。

図2において電子は等速円運動をし、$y$方向に変位する。

  • (3) 電子の円運動の半径を求めなさい。
  • (4) $z=l$の位置で電子の通過する$y$座標$y_l$を求めなさい。
  • (5) (2)と(4)で求めた$x_l$と$y_l$に現れる$v$を消去すると、電子の比電荷$\left(\dfrac{e}{m}\right)$を求めることができる。$\dfrac{e}{m}$を$x_l$と$y_l$を用いて表しなさい。ただし、電子の回転半径に比べて磁場のかけられている範囲の長さ$l$は小さいと考え、$a$が1に比べて十分に小さい時に成り立つ近似式、$\sqrt{1-a}\fallingdotseq1-\dfrac{a}{2}$を利用しなさい。