東京医科大学生物2013年第1問

問いに答えよ。
  • 問1 光学顕微鏡による観察に関連した記述である。(1)~(5)のなかで、正しくない記述を1つ選べ。$\fbox{1}$
    • (1) 対物ミクロメーター(1目盛り:1/100mm)の10目盛り分と接眼ミクロメーターの25目盛り分が一致した。この倍率での接眼ミクロメーターの1目盛り分の長さは4µmである。
    • (2) ユスリカ(2n=8)の幼虫のだ腺を、酢酸カーミン溶液で染色して押しつぶして観察した。核内にしま模様がある大きな染色体が4本みえた。
    • (3) タマネギを縦に4等分して、中心部の小さな鱗片葉と周辺部の大きな鱗片葉のそれぞれの内側中央部に位置する表皮をはがして、細胞の大きさを比べた。中心部の鱗片葉では周辺部のそれに比べて、細胞の長径、短径ともに短かった。
    • (4) タマネギの根端を固定・解離処理後、酢酸オルセイン溶液で染色して押しつぶして分裂組織を観察した。間期の細胞が分裂期の細胞より多かった。
    • (5) ムラサキツユクサのつぼみ内の白色の話を1つ取り出し、なかの粒を酢酸オルセイン溶液で染色して軽く押しつぶして観察した。減数分裂の様々な段階にある生殖細胞がみえた。
  • 問2 原核生物に関連した記述である。(1)~(5)のなかで、正しくない記述を1つ選べ。$\fbox{2}$
    • (1) 古細菌は、真正細菌と真核生物の両方の特徴をもっている。
    • (2) 古細菌も真正細菌も一般的には膜で囲まれた細胞小器官をもたない。
    • (3) 古細菌はメタン生成菌と好熱菌を含み、陸上の環境には見つかっていない。
    • (4) 真正細菌のラン藻類は単独または集団をつくり、植物型の光合成を行う。
    • (5) 古細菌も真正細菌も細胞膜の外側に細胞壁をもっている。
  • 問3 循環系に関連した記述である。(1)~(5)のなかで、正しくない記述を1つ選べ。$\fbox{3}$
    • (1) 昆虫類や軟体動物の開放血管系では、1つ以上の心臓が器官を囲む間隙に血液(血リンパ)を押し出し、血リンパと体細胞間で物質が交換される。
    • (2) 魚類では、2室からなる心臓と全身の単一の血流回路からなり、酸素に富む血液は緩慢に流れる。
    • (3) 両生類では、3室からなる心臓と肺-皮膚および全身の2つの血流回路からなり、酸素に富む血液と酸素に乏しい血液の混合が単一の心室でいくらか生じる。
    • (4) 爬虫類の心臓は3室からなり、心室が隔壁によって部分的にわけられているので、酸素に富む血液と酸素に乏しい血液の混合は両生類より少ない。
    • (5) 哺乳類と鳥類では、心室が左右の小室に完全にわけられ、心臓の右側が酸素に富む血液のみを、左側が酸素に乏しい血液のみを受け取って押し出す。
  • 問4 脊椎動物の筋収縮に関連した記述である。(1)~(5)のなかで、正しくない記述を1つ選べ。$\fbox{4}$
    • (1) 骨格筋が収縮したとき、Z膜間の距離が短縮する。
    • (2) ATP分子がミオシンの頭部に結合すると、ミオシンはアクチンフィラメントと結合する。
    • (3) ある一定頻度以上の連続刺激を運動神経からうけた骨格筋では、単収縮が重ね合わさった強縮が起こる。
    • (4) 骨格筋の収縮において、カルシウムイオンはトロポニンに結合してその構造を変化させ、アクチンフィラメント上のミオシン結合部を露出させる。
    • (5) 短時間の急激な運動時には、筋繊維(筋細胞)中のATPだけでは筋収縮を維持できないので、クレアチンリン酸の分解によりATPの再合成が行われる。
  • 問5 少数の個体からなる個体群の遺伝的多様性を最もはやく上昇させる方策はどれか。最も適するものを、(1)~(5)のなかから1つ選べ。$\fbox{5}$
    • (1) その個体群の生息場所を守る保護区をつくる。
    • (2) その個体群に対する捕食者や競争者の個体数を規制する。
    • (3) その個体群のなかで適応していない個体を繁殖できないようにする。
    • (4) その個体群に, より多数の個体で構成される同じ種の個体群から新しい個体をもってきて導入する。
    • (5) その個体群の全個体を捕獲して飼育下で繁殖させて, その個体群の元の生息場所に戻す。