東京医科大学化学2013年第1問
次の問1~5の各群には、(1)~(5)の中に誤りを含む文が1つあるか、(1)~(5)の全てに誤りがないかのいずれかである。誤りがある場合はその文の記号((1)~(5))を、誤りがない場合は(6)を選べ。
- 問1 $\fbox{ 1 }$
- (1)127℃、600kPaで、830mLを占める気体分子の数は$9.0\times10^{22}$個である。
- (2)標準状態でヘリウム1.0gが占める体積は、標準状態でネオン1.0gが占める体積の5倍である。
- (3)シャルルの法則によれば、-273℃では気体の体積は0になると予想される。
- (4)ボイルの法則から、温度一定のとき、圧力を$n$倍にすると、一定量の気体の体積は$\dfrac{1}{n}$倍になることがわかる。
- (5)分子量70の揮発性物質1.40gを1.00Lの密閉真空容器に入れ、完全に蒸発させたところ、77℃で$5.81\times10^4$Paの圧力を示した。
- (6)(1)~(5)に誤りはない。
- 問2 $\fbox{ 2 }$
- (1)水の比熱を4.2J/(g・℃)、氷の融解熱を6.0kJ/mol、100℃での水の蒸発熱を41kJ/molとするとき、0℃の氷900gを100℃の水蒸気にするために必要な熱量は、$2.7\times10^3$kJである。
- (2)発熱反応では、生成物のもつエネルギーの総和と反応によって発生する熱量との和は、反応物のもつエネルギーの総和に等しい。
- (3)アセチレン(気)の燃焼熱および$\text{CO}_2$(気)と$\text{H}_2\text{O}$(液)の生成熱から、アセチレン(気)の生成熱を求めることができる。
- (4)溶解熱には、発熱の場合も吸熱の場合もある。
- (5)1mol/Lの酸と1mol/Lの塩基の中和反応によって、水が生成するときの反応熱を中和熱という。
- (6)(1)~(5)に誤りはない。
- 問3 $\fbox{ 3 }$
- (1)液体の蒸気圧は、容器内に他の気体が共存すると小さくなる。
- (2)一般に、気体分子の平均速度は、同じ温度では分子量が小さいほど大きい。
- (3)一般に、粒子間に働く結合力が強い物質ほど、融解熱や蒸発熱が大きい。
- (4)面積1m2あたりに1N(ニュートン)の力が働いたときの圧力が1Paである。
- (5)ジエチルエーテル(沸点34℃)とエタノール(沸点78℃)の20℃における蒸気圧を比べると、エタノールのほうが低い。
- (6)(1)~(5)に誤りはない。
- 問4 $\fbox{ 4 }$
- (1)イソプレンの付加重合で生成した高分子には、二重結合が残っている。
- (2)アセチレンにシアン化水素を付加させると、アクリロニトリルが得られる。
- (3)ギ酸を酸化すると、二酸化炭素が発生する。
- (4)$p$-キシレンを酸化すると、フタル酸が生成する。
- (5)サリチル酸を炭酸水素ナトリウム水溶液に加えると、二酸化炭素が発生する。
- (6)(1)~(5)に誤りはない。
- 問5 $\fbox{ 5 }$
- (1)塩化マグネシウムのみを不純物として含む塩化ナトリウム中のマグネシウムを分析したところ、マグネシウムは質量パーセントで1%含まれていた。したがって、この塩化ナトリウムの純度は、質量パーセントでおよそ96%である。
- (2)塩化カリウムと塩素酸カリウムの混合物2.72gに酸化マンガン(Ⅳ)を加え、加熱して完全に反応させたところ、標準状態で336mLの気体が発生した。もとの混合物中の塩化カリウムと塩素酸カリウムの物質量は等しい。
- (3)質量百分率で、亜鉛41.4%、窒素17.8%、酸素40.8%を含む化合物の組成式は$\text{ZnN}_2\text{O}_4$である。
- (4)炭酸ナトリウムの結晶$(\text{Na}_2\text{CO}_3・10\text{H}_2\text{O})$2.86gを水に溶かして、全体の体積を100mLにしたときの水溶液の濃度は0.100mol/Lである。
- (5)質量モル濃度A〔mol/kg〕の溶液の密度をρ〔g/mL〕、溶質の分子量をMとするとき、この溶液のモル濃度〔mol/L〕は$(\text{A}\timesρ\times1000)/(1000+\text{A}\times\text{M})$と表される。
- (6)(1)~(5)に誤りはない。