東京医科大学化学2013年第5問

次の文章を読み、問い(問1~4)に答えよ。

油脂A6.42gは、1.00mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液22.5mLで完全に加水分解された。この反応液に塩酸を加え、十分に酸性にしてからジエチルエーテルを用いて抽出したところ、飽和脂肪酸Bと、いずれも三重結合を持たない2種類の不飽和脂肪酸C、Dが得られた。一方、油脂A3.21gを触媒存在下、完全に水素化したところ、標準状態で252mLの水素が付加し、油脂Eが得られた。これを水酸化ナトリウム水溶液で完全に加水分解した後、塩酸を加え、十分に酸性にしてからジエチルエーテルで抽出したところ、飽和脂肪酸BとFが得られた。脂肪酸B14.2mgを完全燃焼させると、二酸化炭素39.6mgと水16.2mgが得られた。

一般に、過マンガン酸カリウムを用いてアルケンの酸化開裂反応を行うと、次のような反応が起こる。

\[\text{R}-\text{CH}=\text{CH}-\text{R'}\longrightarrow\text{R}-\text{COOH}+\text{R'}-\text{COOH}\]

この反応を脂肪酸Dについて行うと、炭素原子数9の2価カルボン酸と炭素原子数7の1価カルボン酸が生成した。

  • 問1 油脂Aの分子量として最も適当な数値を、次の(1)~(8)のうちから選べ。$\fbox{ 26 }$
    • (1)830
    • (2)832
    • (3)856
    • (4)858
    • (5)860
    • (6)886
    • (7)888
    • (8)890
  • 問2 脂肪酸C4.20gに触媒存在下で水素を完全に付加させた場合、反応した水素は標準状態で何mLか。最も適当な数値を、次の(1)~(6)のうちから選べ。$\fbox{ 27 }$mL
    • (1)336
    • (2)504
    • (3)672
    • (4)756
    • (5)1008
    • (6)1344
  • 問3 油脂E4.31gを完全に加水分解するのに必要な1.00mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液は何mLか。最も適当な数値を、次の(1)~(6)のうちから選べ。$\fbox{ 28 }$mL
    • (1)1.50
    • (2)3.00
    • (3)5.00
    • (4)9.00
    • (5)12.0
    • (6)15.0
  • 問4 次の記述のうち誤っているものを、次の(1)~(5)のうちからすべて選び、解答番号29の解答欄にマークせよ。$\fbox{ 29 }$
    • (1)脂肪酸Bの融点は、脂肪酸Fの融点より高い。
    • (2)脂肪酸Cの融点は、脂肪酸Bの融点より高い。
    • (3)脂肪酸Dの融点は、脂肪酸Fの融点より高い。
    • (4)油脂Aの融点より、油脂Eの融点のほうが高い。
    • (5)同じ質量の油脂Aと油脂Eをけん化するために必要な水酸化ナトリウムの質量は、油脂Aの場合の方が少ない。