東京医科大学生物2012年第4問
文を読んで問いに答えよ。
ヒトでは、ウイルスや細菌などの病原体の目印となる特定の抗原を認識して攻撃する特異的生体防御機構(免疫)がよく発達している。免疫には、体液性免疫と細胞性免疫がある。リンパ球のうち$\fbox{ア}$が前者を、細胞障害性$\fbox{イ}$が後者を担当する。
(A) $\underline{\fbox{ア}}$は、$\underline{\fbox{ウ}}$や樹状細胞が提示する抗原を認識したヘルパー$\underline{\fbox{ウ}}$によって活性化される。活性化した$\fbox{ア}$は増殖したのち、$\fbox{エ}$へと分化し、その抗原に対する(B)抗体を産生して体液中に分泌する。分泌された抗体は、抗原と特異的に結合して抗原の機能を抑える。さらに、増殖した$\fbox{ア}$の一部は$\fbox{オ}$となって体内に残る。
一方、細胞障害性$\fbox{イ}$は、ウイルスに感染した細胞を攻撃したり、(C)他人からの移植組織片や器官を拒絶したりする。
- 問1 文中の$\fbox{ア}$~$\fbox{ウ}$に入る細胞は何か。最も適するものを、(1)~(6)のなかから1つずつ選べ。ア$\fbox{23}$ イ$\fbox{24}$ ウ$\fbox{25}$
- (1) B細胞
- (2) 好中球
- (3) NK細胞
- (4) マクロファージ
- (5) T細胞
- (6) マスト細胞(肥満細胞)
- 問2 次の(1)~(4)のなかで、文中の下線部(A)の細胞間相互作用が行われるのはどこか。最も適するものを2つ選び、解答番号26の解答欄にマークせよ。$\fbox{26}$
- (1) 骨髄
- (2) 胸腺
- (3) 脾臓
- (4) リンパ節
- 問3 次の(1)~(5)のなかで、文中の$\fbox{エ}$の構造や代謝の特徴ではないものを、2つ選び、解答番号27の解答欄にマークせよ。$\fbox{27}$
- (1) DNA複製を活発に行なっている。
- (2) RNA合成を活発に行なっている。
- (3) 多層の粗面小胞体が発達している。
- (4) タンパク質合成を活発に行なっている。
- (5) 異物を取り込んだ多数の小胞がみられる。
- 問4 次の(1)~(5)のなかで、文中の下線部(B)の構造として誤っているものを、2つ選び、解答番号28の解答欄にマークせよ。$\fbox{28}$
- (1) 抗原と結合する部位は1分子中に2つある。
- (2) 抗原に対応して、可変部の立体構造が異なる。
- (3) H鎖とL鎖の可変部のアミノ酸配列は相同である。
- (4) 相同な2本のH鎖と相同な2本のL鎖からなる。
- (5) H鎖は可変部と定常部からなり、L鎖は可変部のみからなる。
- 問5 次の(1)~(5)のなかで、文中の$\fbox{オ}$の特徴ではないものを2つ選び、解答番号29の解答欄にマークせよ。$\fbox{29}$
- (1) 寿命が長い。
- (2) 増殖・分化しない。
- (3) 二次応答において抗体を産生する。
- (4) ツベルクリン反応の引き金を引く。
- (5) 細胞表面に免疫グロブリンを抗原受容体としてもつ。
- 問6 次の(1)~(5)のなかで、長期間免疫が生じるのはどれか。最も適するものを、1つ選べ。$\fbox{30}$
- (1) とげに対する炎症反応
- (2) ポリオワクチンの接種
- (3) 母性抗体の胎盤を介した胎児への投与
- (4) 母性抗体の母乳を介した乳児への投与
- (5) 恐水病(狂犬病)患者への免疫個体から得た血清の投与
- 問7 文中の下線部(C)の基礎研究は、純系マウス間での皮膚移植実験により大きく発展した。純系マウスの3つの系統(A系統、B系統、C系統)とA系統とB系統の雑種第一代(F1)(A×Bマウス)の間で皮膚の交換移植を行った。その結果を表1にまとめた。表1のア~力のなかで、生着するものはどれか。適するものを、(1)~(6)のなかからすべて選び、解答番号31の解答欄にマークせよ。$\fbox{31}$
- (1) ア
- (2) イ
- (3) ウ
- (4) エ
- (5) オ
- (6) 力
- 問8 問7の純系マウスの3つの系統間で、i)~iv)の皮膚の移植実験を行った。表1の移植片の脱落は、移植後7~10日で起こる。i)~iv)の移植実験のなかで、移植後7~10日で移植片が脱落するのはどれか。適するものを、(1)~(4)のなかからすべて選び、解答番号32の解答欄にマークせよ。$\fbox{32}$
- i) A系統の皮膚を拒絶したB系統のマウスに、A系統の皮膚を再び移植した。
- ii) A系統の皮膚を拒絶したB系統のマウスのリンパ球を、無処理のB系統のマウスの静脈に注射した。注射されたマウスに、A系統の皮膚を移植した。
- iii) A系統の皮膚を拒絶したB系統のマウスの血清を、無処理のB系統のマウスの静脈に注射した。注射されたマウスに、A系統の皮膚を移植した。
- iv) A系統の皮膚を拒絶したB系統のマウスのリンパ球を、無処理のB系統のマウスの静脈に注射した。注射されたマウスに、C系統の皮膚を移植した。
- (1) i
- (2) ii
- (3) iii
- (4) iv