東京慈恵会医科大学生物2013年第1問
細胞と酵素に関する各問いに答えよ。
- (Ⅰ) 下図は電子顕微鏡を用いて観察した植物細胞を模式的に表わしたものである。電子顕微鏡は、光学顕微鏡に比べて著しく分解能(解像力)が高く、その限界値は約0.2nmといわれている。次の各問いに答えよ。
- 問1.下線部の分解能とは何か、簡潔に答えよ。
- 問2.光学顕微鏡の分解能の限界値は次のうちのどれか。最も適当なものを1つ選び記号で答えよ。
- a.0.2mm
- b.2µm
- c.0.2µm
- d.20nm
- e.2nm
- 問3.次の(1)~(3)の各々に該当する最も適当な細胞小器官または構造を図中のア~コより1つ選び、( )内に記号を記し、その名称を答えよ。
- (1) 神経細胞などの分泌が盛んな細胞でよく発達している。
- (2) リボソームが結合することがあり、タンパク質などの輸送に関与する。
- (3) メチルグリン・ピロニン染色によって、高濃度のRNAが検出される。
- (Ⅱ) 細胞の中では、多数の化学反応が酵素のはたらきによって効率よく進行している。酵素の本体はタンパク質であるが、酵素の中には( ア )と呼ばれるタンパク質部分に補酵素が結合し、ホロ酵素を形成するものもある。酵素が存在すると反応が進みやすくなるのは、反応しやすい状態にするために必要な( イ )エネルギーが( ウ )ため、常温下でも多くの分子が( イ )エネルギーに達するからである。このとき、反応エネルギーは( エ )。
- 問4.( ア )、( イ )に適当な語句を記入せよ。
- 問5.( ウ )、( エ )に該当する語句を次のa~cより選び、記号で答えよ。
- a.上昇する
- b.低下する
- c.変化しない
- 問6.試験管AとBに3%過酸化水素水を等量入れ、Aに肝臓片を入れたところ、酸素の気泡が発生したが、やがて発生は停止した。次に、A中の肝臓片を取り出しBに入れた。次のア~エよりB中での酸素の気泡の発生量について正しいものを選び、記号で答えよ。
- ア.Aに入れたときより増加する。
- イ.Aに入れたときとほぼ同じである。
- ウ.Aに入れたときより減少する。
- エ.まったく発生しない。
- 問7.多くの酵素が関与する一連の反応系では、最終生産物が初期の段階で働く酵素の活性部位以外の部位に結合し、酵素活性を阻害する場合がある。このような酵素を何と呼ぶか。
- 問8.コハク酸脱水素酵素は、クエン酸回路においてコハク酸を基質としているが、そこにマロン酸が存在すると酵素活性が低下する。その理由を述べよ。