東京慈恵会医科大学生物2012年第2問

生物の運動に関する次の問いに答えよ。
  • $\text{I}$. 動物では、筋肉の収縮、べん毛運動、繊毛運動、アメーバ運動などのいろいろな運動が見られる。これらの連動には細胞質に分布している複数の種類の繊維状のタンパク質が関与し、これらをまとめて$\fbox{1}$と呼ぶ。$\fbox{1}$には、筋繊維でよく発達しているアクチンフィラメントや中心体、紡錘体. 繊毛、べん毛などを構成する$\fbox{2}$などがある。
    • 問1. 文中の1、2の$\Box$の中に適当な語を記入せよ。
    • 問2. 筋収縮はアクチンとミオシンの相互作用により起きる。$\fbox{2}$と相互作用し、繊毛やべん毛の連動を引き起こすタンパク質の名称を1つ答えよ。
    • 問3. アクチンとミオシンに関する次の文章から誤っているものをすべて選び、記号で答えよ。
      • ア. 球形をしたアクチンが多数連なって、アクチンフィラメントを形成する。
      • イ. ミオシンの尾部どうしが結合し、ミオシンフィラメントを形成する。
      • ウ. ミオシンの頭部はATP分解酵素として働く。
      • 工. Ca2+がアクチンフィラメントへ結合することにより、ミオシンとアクチンが解離する。
      • オ. アクチンフィラメントは、ATPを用いてミオシンフィラメントをたぐりよせる。
    • 問4. 筋収縮の直接の工ネルキー源はATPであるが、筋繊維内に含まれるATPの量は数秒間の強縮でなくなってしまう程度の量である。しかし、実際は弛緩時も収縮時も、筋繊維内のATP濃度はほぼ一定に保たれている. その理由を答えよ。
    • 問5. 人体において、繊毛運動が見られる器官を1つ答えよ。
  • $\text{I}\hspace{-.1em}\text{I}$. 植物は外部環境からの刺激に反応して、成長運動や膨圧運動を行う。また、植物細胞内では細胞小器官が活発に原形質流動を行っている。
    • 問6. 次の運動から成長運動をすべて選び、記号で答えよ。
      • ア. チューリップの花の開閉運動
      • イ. オジギソウの集の開閉運動
      • ウ. マメ科植物の就眠運動
      • エ. タンポポの花の開閉運動
      • オ. キュウリの巻きひげの形成運動
    • 問7. 植物の原形質流動にも、細胞質に分布する繊維状のタンパク質が関与している。繊維状タンパク質およびそれと相互作用するタンパク質の名称をそれぞれ答えよ。
    • 問8. ある植物細胞の原形質流動の速さを測定するために、10倍の接眼レンズと10倍の対物レンズを用いて、接眼ミクロメーターと対物ミクロメーターの両方の目盛りが一致するところを調べた。その結果、接眼ミクロメーターの5目盛り分と対物ミクロメーターの6目盛り分が一致していた。次に接眼レンズ10倍、対物レンズ40倍で細胞を観察したところ、葉緑体が5秒間に接眼ミクロメーターの9目盛りを移動した。この細胞の原形質流動の速さは秒速何$\mu$mか、ただし、対物ミクロメーターの1目盛りは10 $\mu$mである。
    • 問9. 気孔の開閉は膨圧運動によっておきる。あるホルモンをつくれないタバコの変異体を実験的につくり、その植物体を湿度の調節をしていない温室に置いたところしおれて枯れたが、同じ変異体を90%の高湿度に調節した温室に置いたところ枯れずに成長した. その理由を考察し、ホルモンの名称を解答欄$\text{I}$に、理由を解答欄$\text{I}\hspace{-.1em}\text{I}$に記せ。ただし、野生株を用いた場合、どちらの湿度条件でも枯れずに成長した。