東京慈恵会医科大学生物2012年第4問

進化に関する次の各問いに答えよ。
  • $\text{I}$. ともに人口が10,000人からなる集団1と集団2において、ABO式の血液型について調査を行った。集団1では遺伝子A、B、Oの頻度はそれぞれ0.3、0.1、0.6であった。また、集団2ではA型の人口が4,500人で、遺伝子Aの頻度は0.5であった。なお、集団1、2はともにメソデル集団として成立するものとする。
    • 問1. 集団がもつすべての対立遺伝子の集合を何と呼ぶか。
    • 問2. 集団1において、血液型がA型の人口を求めよ。
    • 問3. 集団2における遺伝子Bの頻度を求めよ。
    • 問4. 集団1と2が突然完全に混ざり合い、混ざり合った集団もまた1つのメソデル集団として成立するものと仮定した場合、一世代後におけるAB型の人口はいくらか。ただし、総人口は変化しないものとする。
    • 問5. 次の文中の$\Box$に当てはまる適当な文章を15文字以内で答えよ。

      現在の進化学では. 集団の$\Box$要因が進化の要因になると考えられている。

  • $\text{I}\hspace{-.1em}\text{I}$. 現在のコムギ類には、染色体数が2n = 14の一粒系コムギ、2n = 28の二粒系コムギ、2n = 42のパンコムギなどが知られているが、これらは3種類の異なる祖先をもとにできたものである。一粒系コムギと二粒系コムギを交雑すると(1) 2n = 21の雑種ができ、この雑種の減数分裂では、二価染色体が7本と二価染色体を形成しないものが7本観察される。

    一方、パンコムギは、二粒系コムギの野生種と2n = 14の野生タルホコムギとの(2) 交雑によってつくられた雑種が. ある種の染色体突然変異を起こすことによって普通系コムギを生じ、その栽培によって形成された種である。

    • 問6. 一粒系コムギにはAゲノムが2セット(ゲノム構成:AA)、また、二粒系コムギには、少なくともその一方の祖先種のBゲノムが2セット含まれている。減数分裂の観察結果をもとにして、下線部(1)の雜種がもつゲノム構成を答えよ。
    • 問7. 野生タルホコムギのゲノムをDで表すと、パンコムギの全ゲノム構成はどのように表されるか
    • 問8. 下線部(2)について答えよ。
      • (1) 染色体突然変異を起こす前の雑種の減数分裂では. 二価染色体および二価を形成しない染色体はそれぞれ何本観察されるか。
      • (2) ある種の染色体突然変異とは何か。
      • (3) 交雑によってつくられた雑種は、ある種の染色体突然変異が起きないと生殖機能をもった植物体になることはできない。その理由を述べよ。