東京慈恵会医科大学化学2013年第3問

次の文を読み、下記の問い(問1~問6)に答えよ。なお、光学異性体の構造式を答えるときには、一組の光学異性体を一つの構造式で記し、不斉炭素原子を$「\text{C}^*」$で示せ。

6-ナイロンは図1の構造式に示すε-カプロラクタムが単独で開環重合してできた高分子である。図2の構造式に示す、δ-バレロラクトンは同様に重合してポリエステルを生成する。δ-バレロラクトンのように6個の原子で環構造を形成する化合物を六員環化合物という。

tokyojikeikaiika-2013-chemistry-3-1
tokyojikeikaiika-2013-chemistry-3-2

δ-バレロラクトンを水酸化ナトリウムで加水分解すると、ヒドロキシ基を有するカルボン酸ナトリウム塩化合物を得ることができる。このδ-バレロラクトンと同様に、六員環内にエステル基を有し分子式が$\text{C}_6\text{H}_{10}\text{O}_2$である複数種類の化合物Xを考える。δ-バレロラクトンと同様にXを加水分解し、強力な酸化剤を用いて十分に酸化した後、酸性にすると、それぞれ対応する構造の化合物Yが得られる。

  • 問1 δ-バレロラクトンを重合させて得られるポリエステルの構造式を書け。
  • 問2 Xは光学異性体を含めて何種類存在するか。
  • 問3 Yの分子式が$\text{C}_6\text{H}_{10}\text{O}_4$となるときのYの構造式をすべて答えよ。
  • 問4 Yの分子式が$\text{C}_6\text{H}_{10}\text{O}_3$となる場合の、Yの構造式を書け。
  • 問5 互いに異なる構造異性体である二種類のXを反応させると、同一のYを生成する場合がある。このような場合のYの構造式を書け。
  • 問6 Yとへキサメチレンジアミンからナイロンが得られる場合がある。その場合のうち、光学異性体が存在しないYを用いた場合の化学反応式を答えよ。