東京女子医科大学化学2013年第1問
次の各問いに答えよ。ただし、問1~問12の答はすべてマークシート式解答用紙の1~12のマーク欄にマークせよ。
- 問1 1828年、実験室で初めて無機化合物から有機化合物が合成され、これを契機に有機化合物を人工的に作る研究が急速に進んだ。その初めて合成された有機化合物を下記のア~カから選べ。
- ア:メタノール
- イ:アラニン
- ウ:アデニン
- エ:尿酸
- オ:グルコース
- カ:尿素
- 問2 ある温度で一定体積の容器内に$\text{N}_2\text{O}_4$を入れて、一定時間その温度に保ったところ、$\text{N}_2\text{O}_4\rightleftarrows2\text{NO}_2$の平衡に達した。この温度での$\text{N}_2\text{O}_4$の解離度を0.25とすると、このときの気体の全圧は、最初の圧力の何倍か。最も近い値をア~キから選べ。
- ア 1.25
- イ 1.5
- ウ 1.75
- エ 2.0
- オ 2.25
- カ 2.5
- キ 2.75
- 問3 電離に関する次の記述(1)~(5)のうち、正しい記述すべてを選んだものはどれか。ア~サから選べ。
- (1)電離度の小さい物質は、一般に水に溶けにくい。
- (2)弱酸では、温度が一定ならばその水溶液中の濃度が高くなるほど、電離定数は小さくなる。
- (3)弱酸では、温度が一定ならばその水溶液中の濃度が高くなるほど、電離度は小さくなる。
- (4)イオン結合でできた物質は、すべて水によく溶けて電離する。
- (5)純粋な水の電離度は、25℃で$1.0\times10^{-7}$である。
- ア (1)のみ
- イ (2)のみ
- ウ (3)のみ
- エ (4)のみ
- オ (5)のみ
- カ (1)と(3)
- キ (1)と(5)
- ク (2)と(3)
- ケ (2)と(4)
- コ (3)と(5)
- サ (4)と(5)
- 問4 硫酸カリウム水溶液Aを、カラムに詰めたイオン交換樹脂$\text{R}-\text{SO}_3\text{H}$に通して水溶液Bを作った。また同様にしてAをイオン交換樹脂$\text{R’}-\text{N}^+(\text{CH}_3)_3\text{OH}^-$に通して水溶液Cを作った。このA、B、Cを、それぞれ別々の電解槽に入れて白金電極を用いて電気分解した。ここで、各電解槽の陰極で生成する物質どうし、陽極で生成する物質どうしを比較したとき、正しいものは、ア~クのうちのどれか。
陰極で生成する物質 陽極で生成する物質 A B C A B C ア 同じ 同じ イ 異なる 同じ 同じ ウ 異なる 同じ 異なる 同じ エ 同じ 異なる 同じ 同じ オ 同じ 異なる 同じ 異なる 同じ カ 同じ 異なる 同じ 同じ 異なる キ 同じ 異なる 同じ ク 同じ 異なる 同じ 異なる - 問5 炭素棒を電極にして、z価の金属イオン$\text{M}^{2+}$を含む水溶液を電気分解した。Qクーロンの電気量を流したところ、陰極にwグラムの金属Mが析出した。この金属Mの原子量を示す式として正しいものは、ア~クのうちのどれか。ただし、ファラデー定数をF〔C/mol〕とする。
- ア wQ/zF
- イ wzQ/F
- ウ FQ/zw
- エ wF/zQ
- オ zF/wQ
- カ zQ/wF
- キ zw/FQ
- ク wzF/Q
- 問6 次の物質a~dを、融点の高いものから順に並べたのはどれか。ア~コから選べ。
- a 水銀
- b 鉛
- c 酸化アルミニウム
- d ナフタレン
- ア $b\gt a\gt c\gt d$
- イ $b\gt c\gt a\gt d$
- ウ $b\gt c\gt d\gt a$
- エ $b\gt d\gt c\gt a$
- オ $c\gt a\gt b\gt d$
- カ $c\gt b\gt a\gt d$
- キ $c\gt b\gt d\gt a$
- ク $c\gt d\gt b\gt a$
- ケ $d\gt b\gt c\gt a$
- コ $d\gt c\gt a\gt b$
- 問7 次の記述(1)~(5)のうち、イオン化傾向の違いで説明できないものすべてを選んだのはどれか。ア~サから選べ。
- (1)鉄は天然では化合物として存在するが、白金は天然では単体として存在する。
- (2)鉄の水酸化物沈殿は過剰のアンモニア水を加えても溶けないが、亜鉛の水酸化物沈殿は過剰のアンモニア水を加えると溶ける。
- (3)鉄は濃塩酸に溶けて水素を発生するが、銅は濃塩酸に溶けない。
- (4)亜鉛は濃硝酸に溶解するが、鉄は溶解しない。
- (5)鉄の製錬は酸化鉄の一酸化炭素による還元で行うが、アルミニウムの製錬は酸化アルミニウムの融解塩電解によって行う。
- ア (1)のみ
- イ (2)のみ
- ウ (3)のみ
- エ (4)のみ
- オ (5)のみ
- カ (1)と(3)
- キ (1)と(5)
- ク (2)と(4)
- ケ (2)と(5)
- コ (3)と(5)
- サ (4)と(5)
- 問8 水で湿らせた2枚のヨウ化カリウムでんぷん紙の一方に紫外線を一定時間照射した。その間、他方は暗室に同じ時間静置した。一定時間後の2枚のヨウ化カリウムデンプン紙に関する記述として最も適当なものはどれか。ア~キから選べ。
- ア 紫外線を照射した方は脱色したが、他方には変化が認められなかった。
- イ 紫外線を照射した方は褐色になったが、他方には変化が認められなかった。
- ウ 紫外線を照射した方は青紫色になったが、他方には変化が認められなかった。
- エ 2枚とも褐色になった。
- オ 紫外線を照射した方は褐色になり、他方は青紫色になった。
- カ 紫外線を照射した方は青紫色になり、他方は褐色になった。
- キ 2枚とも変化が認められなかった。
- 問9 金属のアンミン錯イオンにおける、金属原子と窒素原子間の結合に関する記述として最も適当なものはどれか。ア~オから選べ。
- ア 静電気力による結合で、金属原子が正、窒素原子が負の電荷を有する。
- イ 静電気力による結合で、金属原子が負、窒素原子が正の電荷を有する。
- ウ 金属原子と窒素原子の双方の不対電子が共有された共有結合である。
- エ 金属原子の非共有電子対が窒素原子に供与された共有結合である。
- オ 窒素原子の非共有電子対が金属原子に供与された共有結合である。
- 問10 次の記述(1)~(5)のうち、内容に誤りのある記述すべてを選んだものはどれか。ア~サから選べ。
- (1)スクロース(ショ糖)は六炭糖と五炭糖で構成されている。
- (2)α-アラニンには光学異性体が存在するが、幾何異性体は存在しない。
- (3)ヘモグロビンは複合タンパク質である。
- (4)リン脂質は油脂より親水性が大きい。
- (5)アミノ酸は双性イオン構造をもっているが、ジペプチドはもっていない。
- ア (1)のみ
- イ (2)のみ
- ウ (3)のみ
- エ (4)のみ
- オ (5)のみ
- カ (1)と(2)
- キ (1)と(5)
- ク (2)と(3)
- ケ (2)と(4)
- コ (3)と(4)
- サ (4)と(5)
- 問11 合成高分子化合物についての次の記述(1)~(5)のうち、内容の正しい記述すべてを選んだものはどれか。ア~サから選べ。
- (1)ポリエチレンテレフタラートは、テレフタル酸とエチレングリコールとの縮合重合によってできる熱可塑性樹脂である。
- (2)重合度が等しいナイロン6とナイロン66には、同数の窒素原子が含まれる。
- (3)重合度が等しい、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリ酢酸ビニルのうち、分子量はポリスチレンが最も大きい。
- (4)ポリビニルアルコールはビニルアルコールの付加重合によって合成される。
- (5)フェノールとホルムアルデヒドを縮合重合させると、フェノールのヒドロキシ基とホルムアルデヒドの水素との間で脱水縮合が起こり、フェノール樹脂ができる。
- ア (1)のみ
- イ (2)のみ
- ウ (3)のみ
- エ (4)のみ
- オ (5)のみ
- カ (1)と(3)
- キ (1)と(5)
- ク (2)と(4)
- ケ (2)と(5)
- コ (3)と(4)
- サ (4)と(5)
- 問12 次の記述(1)~(5)のうち、内容に誤りのある記述すべてを選んだものはどれか。ア~サから選べ。
- (1)液体の蒸気圧は、温度が高いほど大きくなる。
- (2)少量の液体が入っている容積可変の密閉容器内が、一定の温度で気液平衡の状態になっているとき、温度を保ったまま容器の容積を1/2にすると一定時間後には蒸気圧は2倍になる。ただし、この物質はこの条件では化学変化しないものとする。
- (3)氷の融点は、圧力が$1.01\times10^5$Paの場合よりも、$2.0\times10^7$Paの場合の方が低い。
- (4)大気圧が$6.0\times10^4$Paの地点でのエタノールの沸点は、海抜0mの地点における、沸点と比べて低い。
- (5)下図Aの容器内に少量の液体を注入して一定温度で一定時間経過したところ、下図Bのように気液平衡の状態になった。ここで容器内に入れる液体として、水を注入した場合とエタノールを注入した場合を比べると、図Bで水銀柱の高さ(h)がより高くなるのはエタノールの方である。
- ア (1)のみ
- イ (2)のみ
- ウ (3)のみ
- エ (4)のみ
- オ (5)のみ
- カ (1)と(2)
- キ (1)と(4)
- ク (2)と(3)
- ケ (2)と(5)
- コ (3)と(4)
- サ (4)と(5)