東京女子医科大学化学2013年第3問

硫黄の化合物に関する次の文章を読み、以下の問いに答えよ。解答はすべて記述用解答用紙の所定の位置に書き込むこと。

硫化水素は、無色の気体で腐卵臭があり、有毒である。実験室では、(1)硫化鉄(Ⅱ)に希塩酸を作用させると得られる。硫化水素は、還元性があるので、ヨウ素や(2)二酸化硫黄と反応すると(ア)になる。また、多くの金属イオンと反応し、金属によっては特有の色を持つ硫化物を生成する。(3)生成した硫化物が沈殿するかしないかは、水溶液の液性(酸性か塩基性か)によっても異なる。これらの性質を利用して金属イオンの分離や確認を行うことができる。

二酸化硫黄は無色、刺激臭のある有毒な気体である。実験室では、(4)亜硫酸ナトリウムに希硫酸を加えると得られる(5)二酸化硫黄は、還元性があるため、紙や繊維などの漂白剤に用いられる。二酸化硫黄を、白金または酸化バナジウム(Ⅴ)などを触媒に用いて酸化すると、(イ)になる。(イ)を濃硫酸に吸収させて(ウ)とし、これを(エ)で薄めて濃硫酸にする。このような硫酸の工業的製法を(オ)という。

(6)市販の濃硫酸は、96%~98%程度の硫酸を含み、粘性のある液体である。(7)熱濃硫酸には強い酸化作用がある。このため水素よりイオン化傾向の小さい銅も熱濃硫酸とは反応する。

  • 問1 空欄(ア)~(オ)に適切な語句を記せ。
  • 問2 下線部(1)、(2)、(4)の各反応をそれぞれ化学反応式で示せ。
  • 問3 下線部(5)(7)で示したそれぞれの水溶液中でのはたらき方を、電子を含むイオン反応式で示せ。
  • 問4 下線部(3)について、次にあげた金属イオンのうち、中性、塩基性溶液中でのみ沈殿するイオンすべてを選んだものはどれか。ア~サの中から選べ。
    • a $\text{Cu}^{2+}$
    • b $\text{Na}^+$
    • c $\text{Mn}^{2+}$
    • d $\text{Fe}^{2+}$
    • e $\text{Ag}^+$
    • f $\text{Hg}^{2+}$
    • ア aのみ
    • イ cのみ
    • ウ eのみ
    • エ aとb
    • オ aとc
    • カ bとc
    • キ cとd
    • ク cとe
    • ケ cとf
    • コ dとe
    • サ eとf
  • 問5 下線部(6)の濃硫酸で、98%(質量パーセント濃度)の硫酸を含み、密度1.83g/cm3のものを用いて0.1mol/Lの硫酸を100mL調製したい。何mLの濃硫酸が必要か。小数点以下第2位まで求めよ。