東京女子医科大学化学2013年第4問

酸塩基指示薬としてよく用いられるメチルオレンジは、アゾ化合物の合成法を用いて合成することができる。アゾ化合物は、例えば、(1)アニリンの希塩酸溶液に低温で亜硝酸ナトリウム水溶液を加え、生成した化合物にフェノール類などの芳香族化合物を反応させれば合成することができる。
この方法でメチルオレンジを合成する場合には、まずアニリンに濃硫酸を加えて加熱してアミノ基の$p$-位で置換反応したスルファニル酸(A)を合成する。次に、このスルファニル酸を炭酸ナトリウム水溶液に溶解した溶液に、氷冷しながら亜硝酸ナトリウムと希塩酸を反応させると白色沈殿が析出する。これに(2)N、N-ジメチルアニリンを弱酸性下で反応させると赤色のメチルオレンジ(B)が生成し、これに10%水酸化ナトリウム水溶液を加えてアルカリ性とすると、黄橙色のメチルオレンジの沈殿(C)が得られる。
  • 問1 下線部(1)の反応を化学反応式で示せ。
  • 問2 スルファニル酸(A)の構造式を例にならって書け。
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  • 問3 下線部(2)の反応は、何と呼ばれるか。
  • 問4 メチルオレンジ(C)の構造式を例にならって書け。ただし、スルファニル酸とN、N-ジメチルアニリンの結合部分は価標を用いて表すこと。
  • 問5 赤色のメチルオレンジ(B)と黄橙色のメチルオレンジ(C)はpHによって構造が互いに変化する。すなわち、下式のような平衡状態にあると考えられる。滴定時にメチルオレンジを指示薬として用いると、メチルオレンジがpHによつで変色するのはこのためで、変色域の中ほどでは、(B)と(C)がほぼ1:1で存在していると考えられる。
    tokyojoshiika-2013-chemistry-4-2
    この反応の平衡定数Kが、滴定時の温度で$5\times10^{-4}$mol/Lであるとすると、メチルオレンジ(B)と(C)がモル濃度比1:1で存在するのは、pHがいくつのときか。小数点以下第1位まで求めよ。必要ならば$\log2=0.30$を用いよ。
  • 問6 中和反応で、メチルオレンジを指示薬として用いるのに適しているのは、次のどの場合か。またそのときの色の変化はどうなるか。適切な組み合わせをア~サの中から選べ。
    適する場合色の変化
    a0.1mol/Lのアンモニア水を0.1mol/L HClで滴定する赤から黄
    b0.1mol/Lの酢酸を0.1mol/L NaOHで滴定する赤から黄
    c0.1mol/L HClを0.1mol/L NaOHで滴定する赤から黄
    d0.1mol/Lのシュウ酸水溶液を0.1mol/L NaOHで滴定する赤から黄
    e0.1mol/Lのアンモニア水を0.1mol/L HClで滴定する黄から赤
    f0.1mol/Lの酢酸を0.1mol/L NaOHで滴定する黄から赤
    g0.1mol/L HClを0.1mol/L NaOHで滴定する黄から赤
    h0.1mol/Lのシュウ酸水溶液を0.1mol/L NaOHで滴定する黄から赤
    • ア aとf
    • イ aとg
    • ウ aとh
    • エ bとc
    • オ bとd
    • カ bとe
    • キ cとd
    • ク cとe
    • ケ dとe
    • コ fとh
    • サ gとh