東京女子医科大学化学2012年第4問

分子式がC7H8Oで示される芳香族化合物AおよびBと、分子式がC8H10で表される芳香族化合物C、D、Eがある。化合物Bには置換基の位置が異なる構造異性体が存在する。また、化合物CとDも互いに置換基の位置が異なる異性体の関係にあるがEはその関係にない。

化合物AおよびBは金属ナトリウムと反応して水素を発生する。化合物Aをおだやかに酸化すると化合物Fを生じるが、Fは酸化されやすい化合物で空気中でもゆっくり酸化されて化合物Gになる。また、化合物C、D、Eを過マンガン酸カリウムの硫酸酸性水溶液で酸化すると、化合物Cからは化合物Hが、化合物DからはIが、化合物EからはGが得られる。

これらの化合物について以下の問いに答えよ。構造式は例にならって示せ。解答はすべて記述用解答用紙の所定の位置に書き込むこと。

tokyojoshiika-2012-chemistry-4-1
  • 問1 化合物Fの構造式を書け。
  • 問2 化合物Bの示性式を書け。
  • 問3 化合物A~Iのうち、塩化鉄(Ⅲ)水溶液で呈色するものをすべて選び、記号で答えよ。
  • 問4 化合物A~Iのうち、気体の発生を伴って炭酸水素ナトリウム水溶液に溶けるものをすべて選び記号で答えよ。
  • 問5 化合物A~Iのうち、炭酸水素ナトリウム水溶液には溶解しないが、水酸化ナトリウム水溶液には溶解するものをすべて選び記号で答えよ。
  • 問6 化合物Hは加熱することにより化合物Jに変化するが、化合物Iは変化しない。一方、化合物Iをエチレングリコールと縮合重合させると、高分子化合物Kが得られる。Kは合成繊維や合成樹脂として用いられている化合物である。化合物Jの構造式、化合物Iの名称、および下線部の化学反応式を書け。
  • 問7 化合物Eは触媒を用い、高温で脱水素することにより化合物Lとなる。これから得られる高分子化合物を加工したものは軽くて断熱性が高いことから、カップ麺などの容器や梱包材として広く用いられている。化合物Lの構造式、およびLから高分子化合物が得られる反応の種類を答えよ。