東京女子医科大学化学2012年第5問

次のA、Bの文章を読み、それぞれ下の各問いに答えよ。
  • A 天然のタンパク質は、約20種類の( ア )-アミノ酸が、ペプチド結合によって多数結合した高分子化合物である。一般に、タンパク質の種類によって、タンパク質を構成するアミノ酸組成は異なる。しかし、タンパク質に含まれる窒素の質量パーセントは、タンパク質の種類に関係なくほぼ一定している。したがって、食品中に含まれる窒素量を実験的に測定することによって食品中のタンパク質量を求めることができる。

    いま、ある食品10 gを濃硫酸で加熱分解し、含まれる窒素成分をすべて硫酸アンモニウムに変化させた。これに濃厚な水酸化ナトリウム水溶液を加えて蒸留し、

    発生したアンモニア

    をすべて0.25 mol/Lの硫酸20 mLに吸収させたあと未反応の硫酸を中和滴定した。このとき中和に要した0.05 mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液は60 mLであった。以下の問いに答えよ。
    • 問1 空欄1( ア )にあてはまる適切な記号を書け。
    • 問2 グリシン以外の( ア )-アミノ酸にはD型とL型の立体構造が存在するが、天然のタンパク質を構成するアミノ酸はL型構造であり、その立体構造は図1のように示される(ただし、図中のRはアミノ酸の側鎖を表している)。図2は図1と同じアミノ酸のD型を示したものである。(A)~(C)のそれぞれにあてはまる原子または原子団の組み合わせを(1)~(4)から選べ。
    • tokyojoshiika-2012-chemistry-5-1
    • 問3 下線部で生成したアンモニアの物質量を求めよ。
    • 問4 タンパク質に含まれる窒素の質量パーセントを16%とすれば、この食品中のタンパク質の含有量は何%か。小数以下第2位を四捨五入して示せ。ただし、この食品にはタンパク質以外の窒素含有成分は含まれないものとする。
  • B 1分子のグリセリンと3分子の脂肪酸が【 ア 】結合したものを油脂という。これに水酸化ナトリウムや水酸化カリウムのような強塩基の水溶液を加えて加熱すると、容易に加水分解し、脂肪酸のアルカリ金属塩すなわち【 イ 】を生じる。1 gの油脂を完全に加水分解するのに要する水酸化カリウムのミリグラム数をケン化価といい、油脂の平均【 ウ 】を反映している。

    いま、グリセリンに、炭素数16個のパルミチン酸(分子量256)、炭素数18個のオレイン酸(分子量282)、炭素数18個のリノール酸(分子量280)が各1分子結合した油脂Aが4.28 gある。この油脂Aをクロロホルムに溶かした溶液に臭素溶液を滴下すると、はじめは臭素の色はすぐに脱色されるが、臭素溶液の滴下量がある量を超えると溶液は褐色を呈するようになる。

    • 問1 空欄【 ア 】、【 イ 】、【 ウ 】に該当する語句を記入せよ。
    • 問2 油脂Aの分子量を求めよ。
    • 問3 油順Aのケン化価を求めよ。小数以下を四捨五入して整数で示せ。
    • 問4 下線部に含まれる臭素の重さを求めよ。